企業版ふるさと納税の延長が明記!2025年税制改正大綱

2024年12月20日に、自民・公明両党により2025年税制改正大綱がされました。2024年3月末までとされていた企業版ふるさと納税の制度が3年間延長されることが明記されました。今回は、2025年税制改正大綱についてご紹介します。
税制改正大綱とは?
与党税制改正大綱とは、翌年度の新しい税制措置の内容についてまとめた文書のことです。毎年秋ごろから議論が行われ、12月に与党がまとめるのが通例となっています。
この 大綱をもとに税制改正法案がつくられ、翌年1月の通常国会に提出されます。
企業版ふるさと納税制度の経緯
企業版ふるさと納税の制度は、2016(平成28)年に始まりました。
制度開始当初は、通常の寄付と同様の損金算入による法人税の軽減効果約3割に加え、寄付額の最大3割の税額控除が受けられるとされていました。また、制度実施の期間は4年間とされました。
2020(令和2)年の税制改正において、地方創生のさらなる充実・強化に向けて大幅な見直しが実施されています。
地域再生計画の認定にかかる手続きを簡素化し、自治体が申請しやすくなったほか、税額控除が最大3割拡充され、寄付額の最大9割の減税効果がある制度となったのです。さらに、制度自体の5年間の延長が決定され、2024(令和6)年度末までとされていました。
企業版ふるさと納税の制度は3年延長!ただし注意点も
2024年12月20日に与党が合意した税制改正大綱では、企業版ふるさと納税の制度適用を3年間延長すると明記されました。
国税(法人税額部分)について
(5)認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の特別控除制度について、関係法令等が改正され、次の措置が講じられることを前提に、その適用期限を3年延長する。
(税制改正大綱 P.59より)
地方税(法人住民税法人税額割及び法人事業税部分)について
認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人住民税法人税額割額及び法人事業税額の特別控除制度について、関係法令等が改正され、次の措置が講じられることを前提に、その適用期限を3年延長する。
(税制改正大綱 P.60より)
しかし、国税・地方税ともに企業名の公表等に関連して、追加の措置が講じられることとされています。
寄付を活用する事業を適切に運営していることを確認した書面を提出したり、寄付を受けた企業について公表するなどの内容が追記されています。
国税について
① まち・ひと・しごと創生寄附活用事業(以下「寄附活用事業」という。)を実施した認定地方公共団体は、寄附活用事業の完了の時及び会計年度終了の時に、寄附活用事業を適切に実施していることを確認した書面(以下「確認書面」という。)を内閣総理大臣に提出しなければならないこととする。ただし、次のいずれかに該当する場合には、それぞれ次の日以後速やかに内閣総理大臣に確認書面を提出しなければならないこととする。 イ 寄附活用事業の企画・立案に、その認定地方公共団体以外の者が関与している場合において、その者とその寄附活用事業に関連する寄附金を支出した法人又はその法人の関係会社(以下「寄附法人等」という。)との間に取引等の関係があるとき その寄附金を支出した法人からその寄附活用事業に関連する寄附金を受領した日 ロ 寄附活用事業の企画・立案に、その認定地方公共団体以外の者が関与している場合において、その者がその寄附活用事業に係る事業の契約の相手方となったとき その契約の締結の日 ハ 寄附活用事業に係る事業の歳出予算がその認定地方公共団体の議会において議決される前にその寄附活用事業に関連する寄附金を受領した場合 その寄附金を受領した日 ② 認定地方公共団体が、その実施する寄附活用事業に関連する寄附金を受領した場合において、その寄附活用事業に係る契約等が次のいずれかに該当するときは、その認定地方公共団体は内閣総理大臣にその寄附金を支出した法人の名称を報告するとともに、その寄附金を支出した法人の名称を公表することとする。ただし、寄附金を支出した法人がその名称の公表を希望しない場合であって、その公表を希望しない理由が正当であることについて、その寄附金を受領した認定地方公共団体が第三者を含む審議会等の確認を受けたときは、公表しないことができることとする。 イ その寄附活用事業に係る事業の入札において応札者が一の者又は一の者とその関係者のみであり、かつ、その事業に係る契約者等が寄附法人等である場合 ロ その寄附活用事業に係る事業に関する契約が随意契約(少額のものを除く。)であり、かつ、その事業に係る契約者等が寄附法人等である場合 ハ その寄附活用事業に係る負担金の拠出先が一の者又は一の者とその関係者のみであり、かつ、その負担金の拠出先が寄附法人等である場合 ③ 上記②の報告を受けた内閣総理大臣は、その報告を受けた寄附活用事業及び寄附金を支出した法人の名称(その名称を公表しない場合は、その理由)を公表することとする。 ④ 認定地方公共団体は、寄附活用事業に係る事業について、一般競争入札、指名競争入札又は随意契約(少額のものを除く。)により契約の相手方を選定した場合には、その寄附活用事業に係る契約の相手方を公表することとする。 ⑤ 地域再生計画の認定の取り消しを受けた地方公共団体は、その取消しの日から起算して2年を経過するまでは、地域再生計画の認定を受けることができないこととする。ただし、地方公共団体が自ら認定の取消しを申し出たことにより地域再生計画の認定が取り消された場合(地域再生計画の認定が取り消されることを予見して申し出た場合を除く。)はこの限りでない。 ⑥ その他所要の措置を講ずる。
(税制改正大綱 P.59-60より)
地方税について
① まち・ひと・しごと創生寄附活用事業(以下「寄附活用事業」という。)を実施した認定地方公共団体は、寄附活用事業の完了の時及び会計年度終了の時に、寄附活用事業を適切に実施していることを確認した書面(以下「確認書面」という。)を内閣総理大臣に提出しなければならないこととする。ただし、次のいずれかに該当する場合には、それぞれ次の日以後速やかに内閣総理大臣に確認書面を提出しなければならないこととする。 イ 寄附活用事業の企画・立案に、その認定地方公共団体以外の者が関与している場合において、その者とその寄附活用事業に関連する寄附金を支出した法人又はその法人の関係会社(以下「寄附法人等」という。)との間に取引等の関係があるとき その寄附金を支出した法人からその寄附活用事業に関連する寄附金を受領した日 ロ 寄附活用事業の企画・立案に、その認定地方公共団体以外の者が関与している場合において、その者がその寄附活用事業に係る事業の契約の相手方となったとき その契約の締結の日 ハ 寄附活用事業に係る事業の歳出予算がその認定地方公共団体の議会において議決される前にその寄附活用事業に関連する寄附金を受領した場合 その寄附金を受領した日 ② 認定地方公共団体が、その実施する寄附活用事業に関連する寄附金を受領した場合において、その寄附活用事業に係る契約等が次のいずれかに該当するときは、その認定地方公共団体は内閣総理大臣にその寄附金を支出した法人の名称を報告するとともに、その寄附金を支出した法人の名称を公表することとする。ただし、寄附金を支出した法人がその名称の公表を希望しない場合であって、その公表を希望しない理由が正当であることについて、その寄附金を受領した認定地方公共団体が第三者を含む審議会等の確認を受けたときは、公表しないことができることとする。 イ その寄附活用事業に係る事業の入札において応札者が一の者又は一の者とその関係者のみであり、かつ、その事業に係る契約者等が寄附法人等である場合 ロ その寄附活用事業に係る事業に関する契約が随意契約(少額のものを除く。)であり、かつ、その事業に係る契約者等が寄附法人等である場合 ハ その寄附活用事業に係る補助金の交付申請者が一の者又は一の者とその関係者のみであり、かつ、その補助金の交付先等が寄附法人等である場合 ニ その寄附活用事業にかかる負担金の拠出先が一の者又は一の者とその関係者のみであり、かつ、その負担金の拠出先等が寄附法人等である場合 ③ 上記②の報告を受けた内閣総理大臣は、その報告を受けた寄附活用事業及び寄附金を支出した法人の名称(その名称を公表しない場合は、その理由)を公表することとする。 ④ 認定地方公共団体は、寄附活用事業に係る事業について、一般競争入札、指名競争入札又は随意契約(少額のものを除く。)により契約の相手方を選定した場合には、その寄附活用事業に係る契約の相手方を公表することとする。 ⑤ 地域再生計画の認定の取り消しを受けた地方公共団体は、その取消しの日から起算して2年を経過するまでは、地域再生計画の認定を受けることができないこととする。ただし、地方公共団体が自ら認定の取消しを申し出たことにより地域再生計画の認定が取り消された場合(地域再生計画の認定が取り消されることを予見して申し出た場合を除く。)はこの限りでない。 ⑥ その他所要の措置を講ずる。
(税制改正大綱 P.61-62より)
詳細な情報については、実際の税制改正大綱をご確認ください。
また、2025年1月以降の通常国会で税制改正法案の議論など、今後の動きも注視が必要です。
内閣府からの資料も!制度の延長を望む声が多数
2024年12月27日には、内閣府からの資料も公開されました。
制度導入後、令和2年に税額控除を拡充してからは特に、制度の利活用が増えているのが現状です。また、企業や自治体からも本制度の延長を求める声が多数寄せられているといいます。
その一方で、契約手続きの公正性等に問題があった事例も存在し、その改善策を講じたうえで、制度延長に至ったということが示されました。


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延長が明記された本制度は、制度開始からほぼ毎年右肩上がりで寄付額、寄付件数が増加しています。
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