大樹町で進むロケット開発 脱炭素につながるバイオ燃料の取り組みも
日本の航空産業を牽引する北海道の大樹町。2021年に開業した北海道スペースポートは民間にもひらかれており、宇宙ビジネスの発展に貢献しています。2023年12月に大樹町で行われたロケットエンジンの燃焼実験では、液化バイオメタンという燃料が使用されました。この燃料、実は牛のふん尿から作られているんです。一体なぜ牛のふん尿由来のバイオメタンがロケットの燃料になっているのでしょうか。
宇宙のまちづくりを進める北海道の大樹町。2021年に開業した北海道スペースポートは民間にもひらかれており、宇宙ビジネスの発展に貢献しています。2023年12月に大樹町で行われたロケットエンジンの燃焼実験では、液化バイオメタンという燃料が使用されました。この燃料、実は牛のふん尿から作られているんです。一体なぜ牛のふん尿由来のバイオメタンがロケットの燃料になっているのでしょうか。
宇宙に近い町、大樹町大樹町の地域課題を解決するために生まれた、牛のふん尿由来の液化バイオメタン脱炭素の未来を切り開く液化バイオメタン北海道スペースポートでロケットエンジン燃焼実験を実施!結果は 地元の燃料でロケットを打ち上げる インターステラテクノロジズの挑戦は続く企業版ふるさと納税で大樹町を支援!大樹町で寄附受付中のプロジェクト関連記事
宇宙に近い町、大樹町
北海道東部に位置する大樹町は、自然豊かな土地でありながら、「宇宙のまち」としても知られています。東側の太平洋に面した立地は、宇宙ビジネスに適しているとされています。
1980年代から「宇宙のまち」としての取り組みを進めており、2021年には北海道スペースポートが開業しました。このスペースポートは、民間にも開かれており、政府や民間企業、大学等の航空宇宙関連の実験を支援し、日本の宇宙ビジネスの発展に貢献しています。
特に注目されるのは、民間企業が宇宙に挑戦している点です。インターステラテクノロジズ株式会社(以下、インターステラテクノロジズ)は民間でロケット開発を行う会社で、低価格で便利な宇宙輸送サービスを提供することで、誰もが宇宙に手が届く未来の実現を目指しています。
大樹町の地域課題を解決するために生まれた、牛のふん尿由来の液化バイオメタン
大樹町は宇宙開発で知られるだけでなく、酪農が盛んな町でもあります。町の人口よりも牛の数が多いとも言われており、地域の重要な産業の一つとなっています。
しかし、酪農業がもたらす課題も大きく、その中でも特に深刻なのが牛のふん尿による臭いや水質汚染の問題です。
地域では、これまでにも牛のふん尿を堆肥やバイオガスとして利用する試みが行われてきました。バイオガスは主にメタン(約6割)と二酸化炭素(約4割)で構成されています。どちらも温室効果が高く、環境に悪影響を及ぼす可能性があるため、これを効率よく処理することが課題とされています。
従来、バイオガスの活用は一部にとどまっていましたが、近年、バイオガスを加工して「液化バイオメタン」として活用する取り組みが始まっています。
画像:大樹町より提供
脱炭素の未来を切り開く液化バイオメタン
液化メタンは、ロケットの燃料として近年注目を集めています。
従来ロケットの燃料に利用されていた液体水素に比べてコストが低く、入手や管理が容易であるため、SpaceXをはじめとした世界中の企業がこの燃料を利用したロケットの開発を進めています。
ロケット燃料には純度の高いメタンが求められますが、エア・ウォーター北海道(北海道札幌市)では牛のふん尿から発生するバイオガスを精製し、高純度のメタンガスを得ることに成功しました。このメタンガスを冷却して液体にすることで液化バイオメタンが製造されます。
液化バイオメタンは、牛のふん尿などの有機廃棄物を活用するため、持続可能なエネルギー源として注目されています。輸送や貯蔵が容易で、効率的に利用できる点も大きな利点です。
北海道スペースポートでロケットエンジン燃焼実験を実施!結果は
2023年12月には、大樹町にある北海道スペースポート内でインターステラテクノロジズが開発する小型人工衛星打上げロケットZEROのエンジンの燃焼器単体試験が行われました。この燃焼実験では、ロケットエンジンの燃料に液化バイオメタンが使用されています。
燃焼実験の結果は、成功!燃焼器の性能や、液化バイオメタンが十分な性能を有していることも確認できました。
バイオメタンによる燃焼試験実施を発表しているのは、欧州宇宙機関(ESA)が開発しているロケットエンジンに続き世界2例目、民間ロケット会社としては初めてとなります。液化バイオメタンがロケット燃料として実用化される可能性を大きく示しました。
液化バイオメタンの活用は、地域の課題解決にも貢献しています。農業における牛のふん尿の処理問題の課題解決になるだけでなく、エネルギーの地産地消やカーボンニュートラルへの貢献にも一役買っています。
液化バイオメタンは一石三鳥のエネルギー源として、地域資源の有効活用、そして脱炭素社会の実現に向けて大きな期待が寄せられています。
地元の燃料でロケットを打ち上げる インターステラテクノロジズの挑戦は続く
大樹町の航空宇宙産業は、地域活性化と環境問題解決の両面からも注目され、他の地域への波及効果も期待されています。
地域資源を有効活用し、エネルギーの地産地消を推進する大樹町の取り組みは、未来のエネルギー政策に新たな道を示すものであり、次世代の持続可能な社会の実現に大きく貢献しています。地元の燃料でロケットを打ち上げる、インターステラテクノロジズの挑戦は続きます。
企業版ふるさと納税で大樹町を支援!
企業版ふるさと納税の仕組みを活用して大樹町に寄附を行うと、大樹町でロケット開発を行う企業の支援を行うことができます。
航空宇宙関連ビジネス推進大樹町が航空宇宙関連産業の中心地となることを目指し、当町を拠点に航空宇宙ビジネスにチャレンジする事業者を支援します。さらに観光事業や関連産業への波及効果の創出、航空宇宙事業の普及に関する啓発などにも取り組み、航空宇宙関連の実験やビジネスを推進します。
企業版ふるさと納税バトンパスでは、大樹町への寄附を受け付けています。航空宇宙産業へ携わることができ、航空宇宙事業にかかわる人材育成にもつながります。ぜひご検討ください。
大樹町で寄附受付中のプロジェクト
参考:
大樹町再生可能エネルギー導入計画
インターステラテクノロジズ株式会社 プレスリリースhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000043667.html
エアウォーター株式会社 未利用バイオガスを活用したLNG代替・CO2フリー燃料「液化バイオメタン」を国内初製造
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