ファムトリップとは?観光プロモーションの革新的手法

ファムトリップ(FAMトリップ)は、旅行会社やメディア関係者などを地域に招き、実際の体験を通じて魅力を伝えてもらう観光プロモーション手法です。発信力のある人々に地域の魅力を“リアルに”届けることで、認知度向上や誘客につながる効果が期待されています。インバウンドや地方創生の文脈でも注目を集めています。今回は、ファムトリップについて紹介します。
 
 
 

ファムトリップの定義と目的

ファムトリップとは、以下の特徴を持つ観光プロモーション活動です。
  1. ターゲット国の旅行会社、メディア、インフルエンサーを招待
  1. 特定の観光エリアやインバウンド向けサービスを現地で体験
  1. 体験を旅行企画に活かしたり、メディアやブログに記事掲載
 
主な目的は、観光地の魅力を直接体験してもらい、その情報を効果的に発信することで誘客を促進することです。
「Familiarization Trip」「FAMトリップ」と表現されることもあります。

ファムトリップの効果

ファムトリップは以下のような効果が期待できます。
  • 宿泊施設への問い合わせ増加
  • インフルエンサーの投稿による高い反響
  • 地域の認知度向上
特に、インターネット上に情報が残り続けるため、継続的な広告効果が得られる点が大きな利点です。

ファムトリップの実施例と成果

木曽おんたけ観光局の取り組み

2014年に発生した御嶽山の火山噴火災害により観光客数が減少した木曽エリア。
木曽おんたけ観光局は、不特定多数に向けたPRではなく、ROI(投資対効果)が見える形でのプロモーションとして商品造成を目的としたファムトリップを重視した戦略を採用しました。
2018年には、1年間で約10回のファムトリップを実施し、ウォーキング・カヌー・滝行・そば打ちを実際に体験してもらい、発信を通じて総客数の増加という具体的な成果が得られました。
歩く文化があり、木曽の自然をウォーキングすることに興味を示してくれ、木曽の御嶽山を中心とする歴史に対して興味を持っている国から、イギリス、ドイツ(ドイツ語圏であるオーストリア、スイス含む)、オーストラリア、台湾、タイをターゲットにし、エージェントとのコミュニケーションを大切にしたことが成功につながったと担当者は語ります。
また、ヒノキの香りがするおしぼりや、海外の方の趣向にあったサンドイッチなど、ファムトリップの参加者の提案から新たな商品を作成したそうです。

新温泉町の事例

兵庫県新温泉町では、インフルエンサーなど発信力の高い人を対象にモニターツアーを行い発信を依頼する一般的なファムトリップとは一味違う取り組みを実施しました。
発信力・分析力・行動力・意思決定権・継続性を重視し、IT企業や雑誌出版社、PR会社など首都圏を中心に活躍している企業や団体、フリーランスらを参加者とし、但馬地域のワーケーションモデルの確立を目的とし、多角的に町の魅力や地域課題を多角的に探るプログラムを用意しました。
プログラム実施中に、温泉を活用した「温泉茹でタケノコ」「温泉キャラメル」などの特産品開発や全国の有名ブランドと対抗する海産物のブランド戦略にまで話が広がり、地域住民との交流に価値を見出した参加者も多くいました。
 

新潟県村上市

秋田・山形・新潟3県に跨る10市町村(村上市、鶴岡市、酒田市など)の広域観光圏を「日本海きらきら羽越観光圏」とし、ファムトリップを実施しました。
タイで活躍するKOL(Key Opinion Leader/SNS上で専門的な情報を発信するインフルエンサー)を新潟の観光名所などに招き、Instagram、TikTok、FacebookといったSNSで魅力を発信してもらい、海外認知度向上につながりました。

ファムトリップの今後の展望

日本におけるファムトリップは、インバウンド観光の質的転換と持続可能性を両立する重要な手段として進化を遂げています。最新事例とデータから見える可能性を3つの軸で整理します。 1. 市場拡大の可能性 付加価値の高いラグジュアリーな旅行の開拓や新規市場への対応が可能になると考えられます。
 
2. 持続的効果の可能性 インフルエンサーのSNS発信は「継続的な広告費不要」が特徴です。また、参加者からのフィードバックが改善に直結し、事業が持続しやすいという利点があります。 3. 戦略的進化の可能性 ファムトリップをきっかけに、旅行を単なる視察から「テーマ性のある体験」へ転換させることができます。また、不特定多数へのPRではなくよりターゲットを絞った宣伝活動ができるようになります。

今後の鍵

コスト効率化のため、最近では自治体がインフルエンサーやメディアと直接連携する構造が普及しています。アジア市場では現地エージェントとの直接取引が成否を分け、体験プログラムの差別化が競争力の源泉となります。
今後もファムトリップは自治体の戦略としてさらに増加するかもしれません。

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