地方交付税交付金とは?仕組みと役割をわかりやすく解説

地方交付税交付金は、日本の地方財政制度において重要な役割を果たす仕組みです。この制度は、全国の地方自治体が一定水準の行政サービスを提供できるよう、国が財源を保障し、地域間の財政力格差を是正することを目的としています。本記事では、地方交付税交付金の基本的な仕組みから、その役割、そして関連する制度までを分かりやすく解説します。
 
 

地方交付税交付金とは?仕組みと目的を分かりやすく解説

地方交付税交付金は、国税の一定割合を財源として、国が地方自治体に交付する資金です。この制度には主に二つの重要な機能があります。
 
  1. 財源保障機能:全国のどの地域においても一定水準の行政サービスを提供できるよう、必要な財源を保障します。
  1. 財源調整機能:地方自治体間の財政力の格差を調整し、均衡を図ります。
 
たとえば、人口が少なく税収の少ない地方自治体でも、地方交付税交付金によって必要な行政サービスを提供することができます。
これにより、日本全国どこに住んでいても、一定水準の公共サービスを受けられる環境が整備されているのです。

地方交付税交付金の2種類:普通交付税と特別交付税の違い

地方交付税交付金は、主に普通交付税と特別交付税の2種類に分けられます。
 
  1. 普通交付税 総額の94%を占め、客観的な基準に基づいて算定・配分されます。
  1. 特別交付税 普通交付税では対応できない特別な財政需要に対応するために交付されます。

地方交付税交付金の算定方法と配分とは

地方交付税交付金の算定は、複雑な過程を経て行われます。主に以下の手順で決定されます。
 
  1. 基準財政需要額の算定:各自治体が標準的な行政サービスを提供するために必要な経費を算出します。
  1. 基準財政収入額の算定:各自治体の標準的な税収入を推計します。
  1. 財源不足額の計算:基準財政需要額から基準財政収入額を引いた差額を算出します。
  1. 交付額の決定:財源不足額に応じて、各自治体への交付額が決定されます。
 
たとえば、ある地方自治体の基準財政需要額が100億円、基準財政収入額が60億円の場合、財源不足額は40億円となり、この額が交付税として交付されることになります。

地方交付税交付金と関連制度

地方交付税交付金は、他の制度とも密接に関連しています。その一つが「企業版ふるさと納税」です。

企業版ふるさと納税との関係

企業版ふるさと納税は、企業が地方自治体の地方創生プロジェクトに寄付を行うと、法人関係税から税額控除される仕組みです。この制度は、地方交付税交付金を補完する役割を果たしています。
 
企業が特定の地方自治体の地方創生プロジェクトに直接寄付するため、自治体は交付税だけでは賄えない独自のプロジェクト資金を確保することができるのです。
 
たとえば、ある企業が地方自治体のプロジェクトに1,000万円の寄付を行った場合、最大で約900万円の税負担軽減を受けられます。
これにより、企業は社会貢献活動に積極的に取り組むことができ、地方自治体はその分新たな財源を確保できるのです。

地方交付税以外の地方財政支援制度

地方交付税交付金以外にも、地方自治体の財政を支援する様々な制度があります。
 
  • 地方譲与税 国が徴収し、一定の基準で地方に譲与する税金です。これは、もともと地方税として徴収すべき税源を、課税や徴収の便宜上、国が一旦徴収し、その後地方に譲与する仕組みです。現行の地方譲与税には、消費譲与税、地方道路譲与税、自動車重量譲与税などがあります。
 
  • 地方特例交付金 特定の政策目的のために交付される資金です。たとえば、個人住民税の減収を補填するための「個人住民税減収補填特例交付金」や、新型コロナウイルス感染症対策としての「新型コロナウイルス感染症対策地方税減収補填特別交付金」などが該当します。
 
  • 国庫支出金 特定の事業のために国から交付される資金で、その使途が特定されています。これには、国庫負担金、国庫委託金、特定の施策の奨励や財政援助のための補助金などが含まれます。たとえば、教育や福祉、公共事業など、特定の目的のために使用される資金です。
 
これらの制度が相互に補完し合うことで、地方自治体の財政基盤が支えられています。

地方交付税交付金が果たす役割と私たちの暮らし

地方交付税交付金は、地方自治体が安定した行政サービスを提供し、地域間の財政格差を是正するための重要な制度です。
都市部と過疎地の財政力の差を埋めることで、住んでいる場所に関わらず、すべての人が一定水準の公共サービスを受けられる仕組みを支えています。
 
しかし、社会の変化や地域経済の低迷に伴い、地方交付税交付金だけでは解決できない課題も存在します。たとえば、地方自治体の自立的な財源確保や効率的な運営が求められる中、企業版ふるさと納税や地方譲与税など、新たな財政支援策との組み合わせが必要です。
 
今後は、これらの制度を柔軟に活用し、持続可能な地方財政を築いていくことが重要です。地方交付税交付金への理解を深めることは、私たちが住む地域や地方自治体の未来を考える第一歩となるでしょう。

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