自治体担当者のための企業版ふるさと納税活用ガイド

企業版ふるさと納税は、地方創生の推進に大きな可能性を秘めた制度です。自治体にとっては新たな財源確保の手段となり、企業にとっては社会貢献と税制優遇を両立できる魅力的な仕組みです。しかし、その活用には戦略的なアプローチが必要です。本記事では、自治体担当者向けに企業版ふるさと納税の効果的な活用方法を解説。申請から実施までの具体的な手順、企業とのパートナーシップ構築のためのコミュニケーション戦略、そして成功事例から学ぶ効果的な事業の進め方まで、実践的なガイドをお届けします。

企業版ふるさと納税の申請から実施までの手順

企業版ふるさと納税を活用するには、まず自治体が地域再生計画を作成し、内閣府の認定を受ける必要があります。具体的な手順は以下のようになります。
  1. 地域再生計画の作成
    1. 地方創生に資する事業を計画に盛り込みます。
  1. 内閣府への申請
    1. 作成した計画を内閣府に提出します。
  1. 認定
    1. 内閣府の審査を経て計画が認定されます。
  1. 企業への周知
    1. 認定された事業について、企業に広くPRします。
  1. 寄附の受け入れ
    1. 企業からの寄附を受け入れます。
  1. 事業の実施
    1. 寄附金を活用して計画した事業を実施します。
  1. 効果検証
    1. 事業の成果を検証し、必要に応じて計画を見直します。
 
この過程で重要なのは、地域の課題やニーズを的確に把握し、それに応える魅力的な事業を計画することです。また、企業にとって魅力的な提案となるよう、事業の社会的意義や期待される効果を明確に示すことが求められます。
 

企業とのパートナーシップ構築のためのコミュニケーション戦略

企業版ふるさと納税を成功させるカギは、企業との良好な関係構築にあります。以下のポイントに注意してコミュニケーションを図っていくとよいかもしれません。
  1. 企業のニーズ理解
    1. 企業のCSR方針やSDGsへの取り組みを事前に調査し、マッチする事業を提案します。
  1. 明確な価値提示
    1. 寄附を通じて企業が得られるメリットを具体的に説明します。経済的な利益の供与は認められていませんが、HPでの企業紹介、銘板への社名掲載など可能な範囲でのメリットを提供することは可能です。
  1. 継続的な情報提供
    1. 事業の進捗状況や成果を定期的に報告し、企業の参画意識を高めます。
  1. 柔軟な対応
    1. 企業からの提案や要望に柔軟に対応し、Win-Winの関係を築きます。
  1. 感謝の表明
    1. 寄附企業への感謝を公式に表明し、社会的評価の向上に貢献します。
 

成功事例から学ぶ、地域にとっての効果的な事業の進め方

企業版ふるさと納税を活用した成功事例から、効果的な事業の進め方を学びましょう。以下に代表的な事例を紹介します。
 
  1. 岡山県瀬戸内市の事例:山鳥毛(さんちょうもう)里帰りプロジェクト
      • 地域の文化である「刀剣文化」の継承、観光資源としての活用などのため、国宝である備前刀「山鳥毛」を市の博物館へ受け入れるプロジェクトが始動。譲渡価格は約5億円。
      • 企業からの申し出もあり、プロジェクトへの寄付を呼びかけるラッピングしたトラックを走行させるPR企画を実施し、目標を上回る寄付金額を達成。
       
  1. 石川県穴水町の事例:地元特産品開発プロジェクト
      • もともと地域とかかわりのあった農業系ベンチャー企業と連携し、地域で採れる希少食材を活用した新商品の開発を実施。
      • この事業によって新たな商品の開発にも取り組んでおり、特産品作りが進む。
       
  1. 秋田県の事例:世界遺産「白神山地」の保全活動
      • 企業版ふるさと納税の制度開始当初から継続して事業を展開。地元に拠点を有する企業が継続して寄付を行っている。
      • 自然環境の保全と観光振興を両立させる事業を展開。事業の中に教育関連のプロジェクトガイド育成のプロジェクトなどを含めている。
 
これらの事例から、
  • 地域の特色や資源を最大限に活かす
  • 企業のニーズや強みと地域の課題をマッチングさせる
  • 短期的な成果だけでなく、長期的な地域発展を視野に入れる
  • 複数の企業や団体との連携を図り、相乗効果を生み出す
などが、成功事例へのポイントとなりそうです。

企業との協力で持続可能な地域づくりへの一歩を

企業版ふるさと納税は、自治体と企業が協力して地方創生を推進する強力なツールです。その効果的な活用には、綿密な計画立案、戦略的な企業とのコミュニケーション、そして地域の特性を活かした事業展開が不可欠です。
本記事で紹介した手順やポイントを参考に、自治体担当者の皆様には、地域の未来を切り拓く革新的な取り組みにチャレンジしていただきたいと思います。企業版ふるさと納税を通じて、地域と企業がWin-Winの関係を築き、持続可能な地方創生を実現することが期待されます。

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