【事例紹介】株式会社トリドールホールディングスが企業版ふるさと納税で丸亀市の離島を支援―令和6年度大臣表彰受賞―

企業版ふるさと納税とは、企業が地方自治体に寄付を行うと税制優遇を受けられる仕組みで、2016年にスタートしました。制度を通じて、全国各地で様々な地域活性化の取り組みが行われています。内閣府では、2018年度から特に優れた成果を出した自治体と企業を表彰しており、2024年12月には、今年度の表彰式が開催されました。
この記事では、「丸亀製麺」などを展開する株式会社トリドールホールディングスの取り組みをご紹介します。
 
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令和6年度企業版ふるさと納税大臣表彰を受賞

2024年12月に、企業版ふるさと納税の大臣表彰式が行われました。株式会社トリドールホールディングス(以下、トリドールホールディングス)は企業部門でこの大臣表彰を受賞しています。
「共創型地域創生」をテーマに取り組んだ離島振興の取り組みが評価されました。
内閣府の企業版ふるさと納税ポータルサイトでは、表彰式でのプレゼンテーションの動画も公表されています。
 

食の感動で、この星を満たせ

トリドールホールディングスは、讃岐うどん専門店「丸亀製麺」を中心とした外食産業において、国内外で多様な飲食ブランドを展開する大手企業グループの会社です。
2024年3月末時点での展開店舗は、国内外合わせて1,951店舗。その内訳は丸亀製麺が840店舗、国内その他のブランドが250店舗、海外事業が861店舗となっています。
 
トリドールホールディングスは、「食の感動で、この星を満たせ。」というスローガンのもと、世界中で唯一無二の日本発グローバルフードカンパニーを目指して、うどん、カフェ、炭火焼鳥、ラーメン、居酒屋など、多様な飲食ブランドを展開しています。
 
また、2011年に代表の粟田氏が丸亀市観光大使に任命されました。その後両者の関係は深まり、2022年4月には地域活性化包括連携協定を締結しています。
「共創型地方創生」をテーマに、地域の住民の気持ちに寄り添いながら、産業・観光・芸術文化・子育て支援・離島の振興といった9つにテーマで協力関係を築いています。これまでも丸亀城の石垣復興支援や、丸亀製麺の路面店に丸亀市の観光ポスターの掲示などの支援を行いました。
 

企業版ふるさと納税が紡ぐ離島再生への挑戦

瀬戸内海に浮かぶ小さな島が、新たな変革の時を迎えています。今回、トリドールホールディングスが企業版ふるさと納税を活用し、香川県丸亀市の離島・讃岐広島の再生に取り組みました。
 

讃岐広島が抱える課題

丸亀市の沖合約12.5kmに位置する讃岐広島は、外周18.5kmの島です。小手島、手島と合わせた広島校区を形成し、現在の人口は約200人(うち讃岐広島は約160人)となっています。
丸亀港からフェリーや高速船が1日9便運航され、最短20分でアクセスが可能です。光回線も整備され、インフラ面における課題は少ないことが特徴です。
 
しかし讃岐広島は、少子高齢化の課題に直面しています。
かつて採石業で栄えていましたが、現在高齢化は80%を超えており医療機関として診療所は存在するものの、小売店・サービス業・飲食店・学校といった生活に必要な施設が存在しない状態です。
 

「手づくりがあふれる島へ…讃岐広島。」

同社はこのスローガンを掲げ、讃岐広島の再生に取り組み始めます。日本遺産に認定されている「尾上邸」のリノベーションの着工などを行いました。
2022年2月からは、島民の方々の「活気のあった讃岐広島の原風景に近づけたい」という想いを実現するために、トリドールホールディングスの社員が島へ移住し、より島民の方々に寄り添った活動を開始しています。

「3つの島の未来航路 共創プロジェクト」の展開

トリドールホールディングスは、讃岐広島の「離島活性化支援プロジェクト」につなげるために、2022年企業版ふるさと納税を行いました。
「島を愛する人の移住促進」をミッションに掲げ、2030年までに2005年当時の広島校区の姿を取り戻すことを目標としています。達成のための具体的な取り組みとして、以下の3点を挙げています。
  1. 江の浦港周辺の賑わい創出
  1. 日本遺産や地域資源による産業・観光の振興
  1. 移住・交流の推進と未来を繋ぐ後継者づくり
 

2030年に向けた具体的な数値目標

3つの島の未来航路共創プロジェクトでは、以下の具体的な数値目標を設定しています。
  • 2030年常住人口:209人(現在)→ 489人(2030年)
  • 年間旅行者数:300名(2022年) → 17,000名 (2030年)
  • 生活基盤の整備
    • 小中学校の再開
    • 飲食店2店舗の開設
    • 小売店1店舗の開設
 

企業版ふるさと納税を活用した具体的な取り組み

プロジェクトの第一弾として、企業版ふるさと納税を活用し、江の浦港のフェリー待合所の大規模改装を実施しました。
さらに30年ぶりとなる飲食店「みなとのピザ屋さん」をオープンさせ、お土産店や展望台も増築しました。
地元NPOとの協力体制も構築し、地域に根ざした持続可能な取り組みを目指しています。
 

企業版ふるさと納税を利用した、賑わいのある讃岐広島の実現に向けて

トリドールホールディングスは、瀬戸内海の雄大な自然と島民の温かい人柄を大切な地域資源と位置づけ、これらを活かした持続可能な地域づくりを目指しています。
官民一体となった取り組みは、他の地域における地方創生のモデルケースとしても注目されています。
企業版ふるさと納税贈呈式では、島民の皆様やプロジェクトの皆様へ、讃岐広島で採れた色とりどりの野菜を天ぷらにした、できたてのうどんを提供しました。
 
トリドールホールディングスは2022年から2024年までの3年間を集中再生期間と位置づけ、離島への来訪者や移住者を増やすための取り組みをより積極的に進めていくとのこと。今後の展開にも注目です。
 
▼そのほかの令和6年度大臣表彰受賞事例
 
 
参考
社会貢献活動|サスティナビリティ|株式会社トリドールホールディングス
トリドールHD、地域活性化包括連携協定を結ぶ丸亀市の離島振興を目的に企業版ふるさと納税で寄付 讃岐広島・江の浦港待合所のリニューアルを支援
 
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