【事例紹介】企業版ふるさと納税令和6年度大臣表彰受賞 北海道札幌市障がい者リスキリング事業

企業版ふるさと納税とは、企業が地方自治体に寄付を行うと税制優遇を受けられる仕組みで、2016年にスタートしました。制度を通じて、全国各地で様々な地域活性化の取り組みが行われています。内閣府では2018年度から、特に優れた成果を出した自治体と企業を表彰しており、今年も各都道府県から推薦された事例について審査が行われ、表彰式が開催されました。この記事では、表彰された地方公共団体の1つである北海道札幌市の取り組み事例を紹介します。
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令和6年度企業版ふるさと納税大臣表彰を受賞都市と自然が調和する札幌市産業の発展と雇用課題ーデジタル社会に向けた障害者雇用の促進へー札幌市の障がい者支援へ向けた新たな一歩:トランス・コスモスによる企業版ふるさと納税の活用Global Digital Transformation Partner-BPO企業としての成長戦略人材育成ノウハウを参考ー障がい者向けDXリスキリング講座の構築ー産学官が結集!障がい者DXスキル育成の"札幌モデル"きめ細かな支援で高い満足度を実現多様な地域貢献事業自分らしく暮らせる共生社会の実現へ~障がい者活躍の新たな好循環~
令和6年度企業版ふるさと納税大臣表彰を受賞
2024年12月に、企業版ふるさと納税の大臣表彰式が行われました。北海道札幌市は自治体部門でこの大臣表彰を受賞しています。
「共創型地域創生」をテーマに取り組んだ離島振興の取り組みが評価されました。
都市と自然が調和する札幌市

北海道の人口の約4割を占める札幌市は、約197万人(令和6年11月現在)が暮らす都市です。北海道各地から、人・もの・情報が集まるこの街は、第三次産業が87.2%を占めています。また、音楽、美術、映像など様々な芸術文化イベントが開催され、家族で楽しめる屋外アクティビティも充実しています。札幌の魅力は「都市と自然の調和」にあり、充実した都市機能を持つ街並みと、郊外に広がる豊かな自然が融合しています。
産業の発展と雇用課題ーデジタル社会に向けた障害者雇用の促進へー

近年、IT分野やクリエイティブ分野などの産業が成長を続ける中、令和6年6月4日には北海道が「GX金融・資産運用特区」の対象地域の1つとして決定されました。
「GX金融・資産運用特区」とは、国内外の金融・資産運用会社の新規参入や業務拡充を通じて、海外の投資資金を取り込み、化石燃料を出来るだけ使わずにクリーンなエネルギーを活用する変革や実現と、GX(グリーントランスフォーメーション)などの成長分野へ十分な資金が供給される環境のことです。
一方で、女性や高齢者の有業率の低さや、一部の産業における人手不足の課題があります。
このような社会的課題に対応するため、デジタル社会に即応するDX(デジタルトランスフォーメーション)人材として、障がい者雇用を促進する必要性があります。
札幌市の障がい者支援へ向けた新たな一歩:トランス・コスモスによる企業版ふるさと納税の活用

トランス・コスモス株式会社では、1980年の札幌市進出以来築き上げてきた深い関係を背景に、「障がいのある方を支え、自立を促進する」取り組みに強く共感し、企業版ふるさと納税を活用した「障がい者DXリスキリング事業」への寄付を決定しました。この事業では、一般企業に在職している障がいのある方を対象に、高度なICTスキルを習得するための講座が実施されています。
現在、同社は札幌市内に14拠点を展開し、地域との強い結びつきを形成しています。
この寄付を通して、長年にわたり事業を支えてくれた自治体への感謝の意を表すとともに、地域社会への貢献・札幌市との連携をさらに深め、サステナブルな社会の実現に向けた貢献を目指しています。
Global Digital Transformation Partner-BPO企業としての成長戦略
トランス・コスモス株式会社は、1966年に創業した日本のグローバルビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)企業として、コンタクトセンター、BPO、デジタルマーケティング、ECワンストップサービスなど、幅広いサービスを提供しています。同社は、優れた「人」と最新の「技術力」を融合させることで、顧客企業の競争力を強化を支援することを企業理念として掲げています。
人材育成ノウハウを参考ー障がい者向けDXリスキリング講座の構築ー
講座内容は、トランス・コスモス株式会社の社員向け人材育成プログラムを参考に構築され、一般企業の業務に直接活かせる実践的なパソコンスキルの習得を目的としています。6回から10回の連続講座として開講され、以下のコースが開講されました。
・Excelコース
・PowerPointコース
・Webコース
・デザインコース
・プログラミングコース
特にデザインコースでは、イラストレーターなどの専門的なデザインソフトウェアの操作方法を学び、企業のホームページデザインができるレベルのスキル習得を目指します。
本講座は、既に札幌市内の一般企業に勤務していれば障がい種別に関係なく、各コース10名ずつ参加することができます。
本事業の事業費は1,200万円で、全額を企業版ふるさと納税による寄付金で賄います。これにより、参加者の経済的負担を軽減しつつ、質の高いデジタルスキル教育を提供することが可能となりました。
産学官が結集!障がい者DXスキル育成の"札幌モデル"

さらに、デジタル社会に対応する人材を持続的に育成するため、札幌市は事業推進協議会を設置し、多角的な視点から事業の検証と改善を進めています。
協議会の委員には、札幌商工会議所をはじめとする市内の主要な経済団体が参画し、活発な議論を展開しています。
また、トランス・コスモス株式会社・がオブザーバーとして参加し、人材育成の専門的知見を提供しています。
さらに、継続的な人材育成の観点から障がいをもつ生徒が通う高等支援学校も協議会に加わって、年4回程度の会議を開催しています。
協議会の活動は会議にとどまらず、参加する経済団体に所属する企業への訪問活動も積極的に行っています。より多くの企業からの意見を収集し、実際の職場で必要とされるスキルの習得に焦点を当てた効果的な事業内容の構築を目指しています。
きめ細かな支援で高い満足度を実現
障がい者向けDXリスキリングプログラムの最大の特徴は、通常のスキルアップ研修を上回る手厚いフォロー体制にあります。
これまで行われてきた研修では、障がいのある社員の特性に対応した内容かどうかの確証が得られず、企業側も安心して社員を派遣しにくい状況がありました。
しかし、本事業では障がい者支援の豊富なノウハウを持つ事業者が運営を担当しています。参加者一人ひとりの理解度や障がいの特性に合わせた丁寧な指導を実施しているため、参加者からも高い満足度を得て居るのです。
企業内でのOJTと本講座を組み合わせることで、企業に欠かせない人材として長期的に活躍することが期待されています。
多様な地域貢献事業
事業を支援するトランスコスモス株式会社は、「社会全体のWell-beingの最大化」を目的に掲げ、企業のSXパートナーとして積極的な活動を展開しています。
熊本県では、「熊本地震 震災ミュージアム 記憶の廻廊」への寄付や、熊本バスケットボール株式会社が運営するプロバスケットボールチーム「熊本ヴォルターズ」への支援を実施してきました。
また、大分県に拠点を持つ企業として、同県の森林保全および脱炭素推進活動にも積極的に参画しています。
新たに設立された「森林クレジット創出支援」事業では、企業版ふるさと納税による寄付金を活用し、森林のJクレジットとして創出することで、脱炭素への貢献を定量的に可視化する取り組みを進めています。
これらの取り組みは、SDGs推進の具体的な一歩としても注目されています。
自分らしく暮らせる共生社会の実現へ~障がい者活躍の新たな好循環~

現状、当事業は、講座を利用する人の数と企業の数が少ない課題がありますが、本事業の特徴でもある企業の実践的なノウハウを活かした独自の好循環モデル(上記写真)を活かして、当事業に参加する企業数を拡大し、講座受講後に障がいのある方が企業で活躍することを目標としています。
より長く活躍できる共生社会の実現に向けて、札幌発の新たな挑戦が始まっています。
▼そのほかの令和6年度大臣表彰受賞事例
【自治体】
【企業】
参考:
札幌観光協会 さっぽろ早わかり
北海道・札幌「GX 金融・資産運用特区」
北海道 北海道・札幌市が「金融・資産運用特区」の対象地域となりました
トランス・コスモス株式会社 会社概要
トランス・コスモス株式会社 トランスコスモス、札幌市に企業版ふるさと納税を活用した寄付を実施し、感謝状を授与
トランス・コスモス株式会社 トランスコスモス、大分県の「森林クレジット創出支援」事業に企業版ふるさと納税で支援を表明
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